ギフト券の買取業者はたくさんありますね。電子ギフト券の買取業者は、Amazonギフト券やGoogle Playギフトカード、Appleギフトカードなどを高価買取していますが、買取ったギフト券をどのように扱っているのか気になる人も多いのではないでしょうか?
実は、買取業者には転売・業務利用・海外需要など、さまざまな再販ルートが存在しています。中には、市場価格や利用制限を考慮しながら、ギフト券を適切に流通させる業者もあれば、不正取引に関与してしまうリスクを抱えるケースもあります。
本記事では、電子ギフト券の買取業者が買取後にどのように再利用・販売しているのかを詳しく解説します。ギフト券の現金化を考えている方や業界の仕組みを知りたい方は、ぜひ参考にしてください!

1. Appleギフトカードの行方
ここ3年ほどは電子ギフト券の買取業界でダントツトップの取引量になっているAppleギフト券。個人売買も含めると、売買されているアップルギフトカードは月に100億円を超えているそうです。いったいなにに使われているんでしょうか。

1-1. 一番多いのはそのまま再販
買取業者の処理方法として最も一般的なのは再販です。駅前のチケット買取店も、ネット上の電子ギフト券買取業者も、基本的な仕組みは変わりません。買取業者は、個人や企業からギフト券を買い取った後、それを需要のある顧客に再販することで利益を得ています。
特にAppleギフトカードは、電子ギフト券市場の中でも圧倒的な需要を誇ります。時期によっては95%前後の高レートでも購入希望者が現れるほど人気があり、安定した高換金率を維持しています。このため、Appleギフトカードは現金化を希望するユーザーにも選ばれやすく、売りたい人と買いたい人がWin-Winの関係で市場を循環させています。その結果、Appleギフトカードの取引市場は常に活発に動いているのです。
Appleギフトカード市場の規模と取引の仕組み
Appleギフトカードの市場規模は、中古取引を含めると月間100億円を超えるとも言われています。しかし、市場規模を算出する際には注意が必要です。たとえば、個人のAさんが業者Bに1万円分のAppleギフトカードを売却し、業者BがCさんに1万円で再販する場合、取引額としては合計2万円とカウントされます。
このように、1枚のギフトカードが複数回取引されるたびに市場規模が拡大していくため、中古ギフト券市場の総額は、Appleが発行するギフトカードの総発行額よりも大きくなるのです。さらに、転売業者が買い取ったギフトカードを海外市場に流通させたり、法人向けの福利厚生やキャンペーンに活用したりするケースもあり、取引の回転率はさらに増します。
このように、電子ギフト券市場は単純な発行額だけでは測れないほど大きな規模を持っており、特にAppleギフトカードはその中核を担う存在となっています。今後も需要の増加とともに、ギフト券の市場規模はさらに拡大していくと考えられます。
1-2. AppleストアでiPhoneを購入することも
買取業者の中には、買い取ったアップルギフトカードを再販するだけでなく、アップルギフトカードでiPhoneを購入する業者もいます。毎年新作がでるiPhoneは買い替え需要も非常に大きく、アップルギフトカードを使ってiPhoneを購入する方も少なくないそうです。
1-3. 海外のAppleユーザーに再販
日本のAppleギフトカードの仕様と海外市場での需要
日本国内で発行されるAppleギフトカードは、Apple Japan(アップルジャパン)が発行するものであり、その使用範囲も日本国内のApple StoreやAppleの提供するサービスに限定されています。この点は、日本国内の利用者にとってはあまり意識することのない仕様かもしれませんが、実は国ごとに発行されたAppleギフトカードは、その国のAppleアカウントでしか利用できないというルールがあります。
つまり、アメリカで発行されたAppleギフトカードは日本のApp Storeでは使用できず、逆に日本で発行されたAppleギフトカードもアメリカや中国のApple Storeでは利用できません。この仕様により、各国のAppleギフトカードはそれぞれの国のAppleアカウント専用の決済手段として機能しているのです。
日本のAppleギフトカードを求める海外ユーザーの存在
このような仕様のため、日本独自のコンテンツやサービスにアクセスするために、海外ユーザーが日本のAppleギフトカードを必要とするケースが多くあります。特に、日本だけでリリースされているゲームアプリや、日本国内のApp Storeでのみ配信されているコンテンツに課金する目的で、日本のAppleギフトカードを購入する外国人ユーザーは少なくありません。
特に注目すべきなのは、中国市場における日本のゲームアプリの人気の高さです。日本のApp Storeでしかプレイできない人気のゲームタイトルに課金するために、日本のAppleギフトカードを求める中国人ユーザーが多く存在しています。そのため、中国のユーザー向けに日本のAppleギフトカードを販売するための再販業者も一定数存在し、市場が形成されているのです。
海外市場での需要がもたらす影響
このような海外からの需要があることで、日本のAppleギフトカードは国内だけでなく、グローバルな視点での価値を持つことになります。その結果、買取業者や再販業者は日本国内だけでなく、海外のバイヤー向けに販売することで高い利益を確保することが可能となっています。
特に、中国や東南アジア市場では日本のアニメ・ゲーム文化が根強い人気を誇っており、日本限定のアプリやコンテンツに課金するためのAppleギフトカードの取引が盛んです。この需要を背景に、日本のAppleギフトカードは国際的な取引市場の一部として流通しており、国内の買取市場でも比較的安定した高換金率を維持しているのです。
今後も、日本のApp Storeでしか提供されないゲームやアニメ関連コンテンツの人気が続く限り、日本のAppleギフトカードの海外需要は高まり続けるでしょう。
2. Amazonギフト券の行方
Amazonは日本市場において確固たる地位を築いており、多くのユーザーが日常的に利用するECサイトとなっています。しかし、Amazonギフト券の中古市場における存在感は年々薄れつつあります。その大きな要因として挙げられるのが、Amazonによる転売・不正利用対策の強化です。
かつてAmazonギフト券は、電子ギフト券の中でも特に人気があり、高換金率で取引される中古市場の中心的存在でした。しかし、近年では転売・不正購入・詐欺行為などを防ぐため、Amazon側が厳しい規制を導入し、ギフト券の取引に対してより厳格な管理を行うようになりました。

2-1. そのまま再販するも仕入れに使うのは限られた業者だけ
Amazonギフト券の転売市場の黄金期と規制強化の影響
かつてのAmazonギフト券市場:転売業者の仕入れ需要が旺盛
Amazonギフト券の市場が最も活発だったのは、約4〜5年前の「黄金期」と呼ばれる時期でした。当時はAmazonの規制がほとんどなく、転売業者が大量にギフト券を仕入れに利用するため、非常に高い需要を誇っていました。
この時期の市場相場は非常に安定しており、
- ギフト券の買取率は90%前後で推移
- 購入希望者の相場は95%程度
と、電子ギフト券市場の中でも高い換金率を維持していました。
転売業者にとってAmazonギフト券は、仕入れ資金の一部として活用できる便利な決済手段でした。ギフト券を活用すれば、クレジットカードの制限を気にせず大量の商品を購入できるため、転売市場においては極めて重要な存在だったのです。
特殊詐欺グループの悪用と社会問題化
しかし、この状況が大きく変わったのは、特殊詐欺グループがAmazonギフト券を悪用し始めたことがきっかけでした。
詐欺グループは、
- 高齢者を狙った「電子マネー詐欺」
- 「未払い請求詐欺」や「架空請求詐欺」
などの手口を使い、被害者から現金ではなくAmazonギフト券を騙し取る手口を展開。このような手法が急速に広まり、Amazonギフト券を悪用した詐欺被害が社会問題化するようになったのです。
メディアでも頻繁に報道されるようになり、警察や消費者庁が注意喚起を行うほどの大きな問題へと発展しました。
Amazonによる厳格な規制とペナルティ強化
この社会問題を受け、Amazonはギフト券の悪用を防ぐために厳しい規制を導入しました。その結果、
- ギフト券の無効化(不正取得の可能性があるギフト券を強制的に使用不可にする)
- 残高の没収(転売や不正な入手が疑われるギフト券の残高を消滅させる)
- アカウントの閉鎖(疑わしい取引をしたアカウントを凍結)
といった、強力なペナルティが次々と適用されるようになりました。
この影響により、転売市場で流通するAmazonギフト券を使うこと自体が大きなリスクを伴う行為になり、買取業者・転売業者の多くがギフト券の利用を避けるようになりました。
現在のAmazonギフト券市場の状況
現在では、かつてのようにAmazonギフト券を積極的に仕入れる転売業者は減少し、
- Amazonのペナルティを受けても黒字を維持できると考える一部の業者
- リスクを承知の上で大量買いする限られた購入者
のみが取引を行う市場へと縮小しています。
また、買取率も以前の90%台から大きく下がり、50〜70%程度で取引されることが多くなりました。
一般のAmazonユーザーも、規制が厳しくなったことで「転売ギフト券は使わないほうがいい」という意識が広まり、ギフト券の取引を避けるようになったことも、市場縮小の大きな要因の一つです。
今後のAmazonギフト券市場の展望
こうした状況が続く限り、Amazonギフト券の中古市場は今後も縮小傾向が続くと予想されます。
かつてのように転売業者が積極的に利用することは少なくなり、
- 法人向けのキャンペーンや販促インセンティブとしての需要
- ポイント交換サービスや福利厚生プログラムなどの正規利用
といった、より公式の用途に限定された形での流通が主流になっていくと考えられます。
Amazonギフト券市場の「黄金期」は終わりを迎え、現在は規制強化の影響で厳しい状況が続いているのです。
2-2. 一般ユーザーは知らない人が被害にあっている
多くのギフト券転売業者は、Amazonギフト券の販売ページに注意書きを記載しており、「Amazonギフト券の転売に関する規制が強化されている」ことを明確に伝えています。しかし、これまでの一般的なギフト券の取引ルールから考えると、まさかAmazonが「転売されたギフト券だから」という理由だけで、そのギフト券の残高を丸ごと没収したり、アカウントごとロックしたりするとは思わなかった人も多いでしょう。
実際、Amazonは不正利用や転売目的のギフト券の利用を厳しく取り締まるようになり、購入者が意図せずに規約違反を犯してしまうケースが増えてきています。
最近はネット上でもこの辺りの話がたくさんあるので、中古のAmazonギフト券を使う人も減りました。
結果として特殊詐欺グループはアマゾンギフト券ではなくAppleギフトカードを使うようになったのでアマゾンとしては転売防止作戦が成功したのは間違いありません。

2-3. 税金の支払いも制限が掛かりました
Amazon Payでの税金支払いが可能になり、新たなビジネスモデルが誕生
2022年末から、Amazon Payを利用して税金の支払いが可能になるサービスが登場しました。これにより、Amazonギフト券を使って住民税や自動車税などの各種税金を納付できるようになり、新たな活用方法が生まれました。
このサービスに目をつけた業者は、税金の支払いを数%引きで引き受けることで、Amazonギフト券の仕入れと納税代行を組み合わせた新しいビジネスモデルを展開し始めました。具体的には、
- 納税者から税金の支払い代行を依頼される(例えば3%割引で税金を支払うサービスを提供)
- 業者はAmazonギフト券を10%程度の割引率で仕入れる
- Amazonギフト券を使って税金を納付し、差額の利ざやを得る
このように、納税者は割引で税金を支払うことができ、業者はAmazonギフト券の安値仕入れと税金支払い代行で利益を得るという、双方にメリットのあるスキームが生まれました。
高額納税者に爆発的に受け、一時的に市場が活気づく
特に、高額納税者にとっては、この仕組みは大きな節税効果をもたらすものとして爆発的に受け入れられました。
- 通常、税金は割引が適用されることはないが、この仕組みを活用することで数%の節約が可能
- 特に数百万円単位の税金を支払う富裕層にとっては、わずか数%の違いでも大きな金額となる
- その結果、2023年から2024年にかけて、Amazonギフト券の買取市場が活気を取り戻した
ただし、この納税スキームが生まれたことで、Amazonギフト券の売買市場が再び盛り上がったものの、相場全体が上昇するほどの影響はなかったのが現実です。
2025年2月以降は税金支払いの規制強化で市場縮小へ
しかし、このAmazon Payを使った税金支払いの仕組みが長続きすることはありませんでした。2025年2月から、
- 30万円以上の税金を分割で納付することができなくなる
- Amazon Payを通じた税金支払いが一部制限される可能性がある
という規制が導入されることになり、この納税スキーム自体が縮小する見込みとなっています。
その結果、
- Amazonギフト券の「税金支払い需要」が減少
- 市場の活気も再び落ち着く可能性が高い
- 税金を支払うためにギフト券を購入する高額納税者の減少により、ギフト券の買取市場も再び縮小傾向に
となることが予想されます。
Amazonギフト券の需要変動と今後の展望
このように、Amazonギフト券の市場は、新しい活用方法が登場するたびに一時的に活気を取り戻すものの、Amazonの規制や法改正によってその需要が抑制されるという傾向が見られます。
- かつての転売需要は、Amazonの厳格な規制により縮小
- 新たに税金支払いの用途が生まれ、市場が一時的に活発化
- 2025年の税金支払い規制強化により、再び需要が落ち込む可能性が高い
今後、Amazonギフト券市場が再び成長するためには、新たな活用方法が生まれることが必要ですが、Amazon自体がギフト券の流通を厳しく管理し始めているため、大きな変化が起こる可能性は低いかもしれません。
このように、Amazonギフト券市場は規制の影響を受けながら、その都度異なる需要が生まれ、一時的に活気を取り戻すが、最終的には抑制される流れが続いているのです。
3. その他のギフト券の行方
これまでAppleギフトカードとAmazonギフト券について説明しましたが、他のギフト券は買い取られた後どのように使われているのでしょうか。
基本的に電子ギフト券の買取業者は、独自の流通ルートを確保していて、買い取ったギフト券は再販しています。そのため、需要が高く高額で売れるギフト券は高く買い取っていますし、買い手がなかなか見つからないような不人気なギフト券は基本的に買取率がとても低いです。
また、図書カードネクスト・ニンテンドープリペイド・UberEatsなどは一部の転売業者が買って事業に使用しているようです。
まとめ
電子ギフト券の買取業者は、買い取ったギフト券を買取り額よりも高く売って利ザヤを稼ぐのが商売です。ですから買い取ったギフト券は基本的に売られています。
「買取業者よりも自分で売った方が高く売れるのではないか?」と思う人は、アマギフト・amaten・Buygiftなどの個人間売買業者に登録してみるのもいいかもしれません。
